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森林飽和-国土の変貌を考える




帯の「砂浜がなくなる原因は山にあり」という文言に釣られて買ってしまった。著者は、砂防学会、森林学会会長を歴任した山林土木の権威。今までの治水治山のセオリーは、政治にしろ、常識的な考えにしろ、「土砂崩れは起こさない」というものだったと思う。戦前まで、日本は緑の国ではなかった。日本人の主たるエネルギー源は長らく木材だったため、燃料である木を拾うため、奥山に至るまで木を刈った。禿山が続いた日本。禿山だった日本は、山崩れが多発した。崩れた大量の土砂はどこへ行くのか。川から海へ流出する。川は、橋脚が埋まるくらいガレ石に覆われた。海岸べりの家は砂掻きをサボるとすぐに家が砂に埋まるという、「砂の女」を地で行くような光景が戦後まで見られた。

日本は「森林で全国を埋め尽くす」と戦後、急速に緑化を進めた。森林があれば、表層崩れはそうそう起きない。最近、「深層崩壊」が問題になっているが、それは表層崩壊が起きなくなったからこそ、めったに起きない深層崩壊が問題になっている。著者に言わせると戦後緑化の成果で、土砂崩れによる死者は激減したという。今は緑化による恩恵を我が国は享受している。しかし、今後はそうもいかないらしい。砂浜は侵食されている。海に削り取られる量が、山からの土砂供給量を上回っている。30年で三宅島と同程度の国土が消失し、海岸の道は崩壊の危機にさらされる。

土砂が川を流れないことの意義は大きい。低地で天井川にならない、河道閉塞が起きない。ただ、土砂の供給不足は将来課題になる。著者は管理された山崩れを起こすことを提案している。「土砂を動かさない」治山砂防の常識とは逆だが、これまでの歴史にない森林の急増に伴い、有史以来の面積の森林に覆われた日本で、増える森とどう付き合うか、全く新しい発想だ。

ほかに、震災後急に増えてきた「クロマツのみを海岸林にするのは、防災上不安がある。しっかり根を張り保水性もある広葉樹にすべき」という言説に「クロマツは砂浜という厳しい環境でも確実に育つし、防災力も広葉樹と顕著な違いはない。広葉樹もあってもいいけど、海岸林にクロマツというのは過去の経験に基づく知恵」と批判しているのも納得できた。
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