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5月の新書オーバービュー


 光文社新書の表紙じゃない。反則である。プレジデントオンラインで連載してた数年前から「昆虫ブームだし、新書出たら絶対売れるだろうな~」という佐藤藍子的確信を持っていたので、読むのやめようかなとも思っていたのだが、結局読了。ライティングスタイルが独特で、中身はともかく、こち亀「チャーハンライス」、ドラクエよろしく勇者と3人のパーティでバッタ狩りとか、例え話がいちいちアラフォー世代のツボにはまる。

 全くの豆知識だが、バッタとイナゴの違いは、群れると変色するか否か「だけ」だそうである。茶色に変色したバッタの大群は三国志に出てくるくらいの印象しかないが、アフリカでは今でも毎年出現して大被害を与えている。そのため、モーリタニアは全土に監視員を配置して、大群になる前に薬を撒いて全滅できるように警戒しているのだという。

  バッタの大群は駆除が優先されるため、野生でどう行動するかは意外にも知られていない。バッタの大群を観察するため、著者は「大群の兆候」と聞くと砂漠を数百キロ車で走り、しばしば野営する。だが、本書の主役であるバッタは著者のいる年に限って出てこない。ハリネズミ、ゴミムシダマシ、サソリなど前半はバッタでないが、クライマックス、狂気と言っていいバッタ愛、研究熱が思う存分語られている。京大総長に「ありがとうございました」となぜか面接で言われてしまう理由もわかる気がする。

 モーリタニアという日本人にほとんど馴染みのない国で、かつ著者は、給料を騙し取られているにもかかわらず、相棒のドライバーと実に仲が良い。運転手なのに、著者の実験道具を作ってやったり、観察助手になったり、砂漠で野営する時の飯を作ってくれたり。ぶよぶよスパゲッティやら新鮮なヤギを使った脂ギトギトの肉飯やら、シンプルだけど満天の星空の下で食うからきっとうまそう。本書に女児を肥えさせるモーリタニア独特の風習を嫌い、妻と離婚してしまった……というプライベートな愚痴まで著者にしている。科学者のエッセイというより、世界ウルルン滞在記のノリだが、本の厚みを感じさせない楽しい研究記録だ。




 平安後期から筆を起こし、幕末までの武士道のありようを簡単にまとめた本。平安期、武士は地方の荒れた無主地を開拓するデベロッパーで、所領を守るために近隣の武士と一戦交えることも多かったという。「一騎打ちは、互いが磨いた武芸を見せ合うことで実力を比べ、実戦に持ち込まないための工夫」という説明が腑に落ちた。

 武士道は盲従的な倫理ではない。殿が間違っていたら諫言し、報復も顧みず君主権の剥奪、いわゆる主君押込もした。だから江戸時代に庶民階級まで武士道倫理が広まり、同業者間への絶対的な相互信頼から米の先物取引まで生んだ。

 幕末、攘夷派の方がむしろ欧米の技術習得に熱心だったという話に驚く。「薩英戦争は、最新鋭のペクサン砲を旗艦に命中させた薩摩が勝ち、英艦隊は逃げ帰った」「長州相手に米英仏蘭が束になってかかってきた」というのも意外だった。




 釜山の慰安婦像設置イベントに「何様のつもりか」と、かなり韓国に手厳しい朝日のソウル支局長ルポ。外交・安保のウエイトが大きい。著者は韓国の外交力の低下を懸念している。韓国のジャパンスクールは世界一日本を理解する人々だったといい、役所の要職も占めた。政財界にも日本語ができる要人が多く、日韓会談は日本語で微妙なニュアンスを理解しあい、カラオケで日本の歌を放吟した。これが今や、抗議文を読み上げるだけ。また、米中でなければ出世できないし、家庭重視の女性外交官が増え、「夜の社交」を含めた地味なネゴがしにくくなったという。

 では、対米中関係がうまくいっているかというと、決してそんなこともない。在韓米軍は拠点をソウルから大幅に南に下げた。38度線に張り付けていたが、今後は主力部隊はローテーション、海外での演習にも参加させるという。中国もTHAAD配備で関係はこじれている。大量破壊兵器のほか、平壌防空、特殊部隊、「ソウル火の海」に特化した北朝鮮軍に有効な対策をなかなか打ち出せず、核の脅威が高まるたびに「核武装論」が沸き上がる韓国の軍事分析も興味深い。

 同窓会社会、陳情政治、「失業したらフライドチキン開業」の経済など、生存競争の厳しい韓国社会を、豊富なエピソードと韓国人のため息交じりのセリフで描いている。朝日の韓国論調というと、社説まわりで能天気な「韓日」友好論を書いている人を想起するネット民も多いが、本書には全くない。リアリズムで貫かれている。本紙で書けばいいのにと思うが、むしろ本紙では書きにくいのかもしれない。


 今月一番面白かったのは、光文社新書の「効かない健康食品 危ない自然・天然」。最近、自炊が増え、身近な食品衛生に関心を持ったこともあるが、「作り置きが危ない」「塩分入れすぎは危ない」など、根拠に基づいたメッセージがわかりやすい。
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