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4月の新書オーバービュー



 2,3年前に流行した「貧困女子の風俗ワーカー化」「ひたすらかわいそうな風俗ワーカーのライフヒストリー」といったストーリーの「風俗嬢かわいそう」論に、5000人を超す風俗嬢の相談に応じた経験から異を唱えている。

 出退勤自由で平均30~40万円稼げる風俗は、昼間の仕事に比べかなり拘束が緩い。風俗店も凄まじい額の求人広告を投じているので、以前に比べると手軽に入れる業種になり「堕ちた」感覚はない。「金のため嫌々やっている」「強制的に放り込まれた」風俗嬢は主流ではない。
 
 著者は「本人がやりたくてやっているのであれば、無理に辞めさせるべきでもない」という。むしろ、出口が問題だという。風俗嬢の多くは40歳前後で引退していく。だが、昼間の職業に戻ろうにも40歳までキャリアの積み上げがないどころか隠したい過去でしかないから、転職しようにも出る先がない。そこからが本当に「堕ちていく」。風俗後の出口を作る方が、女性支援になるとしている。

 切り口の新しい、著者の主張は納得できたものの、本書には「このように転身が行われた」というストーリーのある事例がなく、出口論が繰り返される印象があった。本としてはやや物足りない感じがした。




 もう1冊、光文社新書。ある変数に介入して変えた場合と変えない場合、どのような効果(影響)があるかを比較するための分析手法を、実際の実験・分析を使いながら初心者向けに教えている。

 調査では著者が行った「電力料金が上がると電力消費が減る」社会実験が行われている。料金が上がると消費は減るようだが、ここで驚いたのが、被験者の属性が数十項目列挙され、上がる方と上がらない方で因子に偏りがないように調査されている。料金が上がる方で大卒が多いと、料金に関係なく、もともとエコに気を使っているかもしれないし、どちらか一方が収入が多い群だと、料金などお構いなしに電気つけっぱなしにするかもしれない。

 選挙の時期にtwitterでよく、『開票率5%でなんで当確打てるんだいと聞いたら、秋山仁が「味噌汁作って味見、あなた丼鉢でぐーーっと飲む?」って』という小話が出てきて、うまいなあと思いつつ、味噌汁作りが下手な私は「おたまの味噌玉落としたら、味見にならねえ」と思っていた。やはり、味噌玉を落とさないように溶く努力を統計学者は一生懸命してるんだな、と妙に納得した。



 軍事における機動のあり方、作戦の立て方を解説した本。攻勢時、どのように迂回、包囲を取るか実戦を例に紹介している。ナポレオンの機動力を生かした各個撃破は革新的であったが、大規模戦役になるとナポレオンの目が行き届かなくなってしまった。また、インパール作戦における当初の進撃は、「日本軍が分散し補給が届かなくなった時期と場所で、英軍が一丸となって各個撃破する英国の必勝策に乗せられただけ」という、外線作戦の失敗事例として挙げられている。


 今月一番面白かった本は、中公の「自民党」。「安倍1強は有権者の消極的選択であり、支持基盤は長期的には一貫して弱まっているが、他党と比べ政治的資源が豊富なのは今後も変わらない」とする。政策過程・人事の変遷から読み取る総裁への権限集中、党員や集金額から支持基盤の分析は実に精緻。都議選での都民ファースト圧勝から見ても、実証された印象だ。
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