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1月の新書オーバービュー

メディアのあり方論で印象に残ったものの、感想のロジックが固まらずレビュー崩れになった本2冊から。


 1冊目はネットメディアの倫理と主要メディアの成り立ちを描いた本書。スマホで主要な位置を占める5つのメディアをジャーナリスティックに紹介しつつ、「メディアとプラットフォームの差があいまいになり、ネット記事の書き手責任が明確でなくなったことが偽ニュース氾濫の原因」とする。
 
 ネット時代になって、ニュースを制作する側(メディア)と流通させる側(プラットフォーム)が分業し、プラットフォームを独占したヤフーにメディアの新聞社が依存する形になった。ヤフー側はニュースの制作責任を負わずに多数のニュースを掲載してサイトに集客できる。

 しかしながら、ネットユーザーが、フェイスブックなどのソーシャルメディアやスマホ、まとめサイトからニュースを受け取るようになった。発信者もブロガーなど無数に増えた。このため、ヤフーのネットニュース流通独占は崩れている。ヤフーもほかのプラットフォーム型サイトもオリジナル記事を掲載するようになった。だが、ヤフーではプラットフォーム部門とニュース制作部門の仕切りがあいまいで、最後まで責任を持てるのか、と問う。両者が混在すると、自社や自社関係制作の記事であっても配信しただけのように見せかけ、倫理上・法律上の責任を回避することができてしまう。「DeNAの問題もまさにそこにあった、ヤフーにもその蓋然性は高い」と指摘している。

 グーグルで「マスゴミ批判」を検索していると、その傾向に沿った記事ばかり集まり、自身のマスゴミ批判が強化される。そんな、ネット検索の危うさも指摘している。

 発信者か流通者か、立場を曖昧にしつつあるネットメディアと比較し、マスメディア(主に新聞)を肯定的に評価しているが、最後に注文・提言も出している。
1.事実関係をきちんと確認し、事実を掘り出して社会の問題を明らかにする、旧来のメディアの役割をきっちり果たすこと。
2.ネットのニュースサイトと協力し、テクノロジーを活用した取材を強化する。

 スマホに特化した新興メディアとしてはスマニューとニュースピックスを取り上げている。ちょっとトラブルがあったからか、p73で「記者は剣豪に似ている(中略)経験が乏しいほど実力を過信する。ヤフーで『できる』と感じた人はごく一握り」と、ヤフーに辛い気もするけどなあ。




 こちらは科学を題材に、マスメディアである新聞の信頼性確保を論じた本。統計を多用し、前掲「ネットメディア覇権戦争」より学術寄りに書いている。

 新聞の科学記事は、科学者と科学記者の狭いコミュニティで記事が生成されがちであり、「学術誌発表と同時に記事解禁」というシステムが、記者自身の主体的な検証を阻んでいる、と指摘している。とりわけ、著者自身が大量の新聞記事を横断的に分析した原発の初期報道の2章は読ませる。「炉心溶融」を指摘した朝日・毎日と、慎重だった読売・日経の差を読み取り、全紙一様の「大本営報道」ではなかったとする。

 また、STAP細胞問題では、初報で賞賛するのはやむを得ないという。だが、結果的に誤報となったにもかかわらず、新聞は一転追及側に回り、己の報道を検証しなかった。これもマスコミ不信を増幅させたと本書は見る。読売で起きたiPS移植誤報では、STAP事件同様、同紙は騙されたにも関わらず、2週間後に詳細な検証記事を出した。同紙を含めではあるが、この時のような自己検証をすべきだったと論じている。

 STAP報道に関しては「リケジョ」など若い女性科学者であることに過剰反応した報道だとの批判については「大半が業績内容の解説であった」としつつ、確定的な業績であるノーベル賞受賞報道のように、「割烹着」など本人の横顔まで報じるのはやりすぎであったと評する。

 20世紀と異なり、ネットで誤報・虚報はすぐばれる時代になった。著者の課すハードルは高いが、それくらいしないと読者の信頼は取り戻せない。



 メディア以外の本では、この本の内容が深かった。虐待や非行などの事案で「児童相談所に行けば決着」と世間は感じがちである。当の子供にとっては、児相の一時保護所に入ってからもかなりきつい。里親に行くか児童養護施設に行くかするまでの数か月間を児相で過ごす。だが、学校はもちろん外出は一切できない。食事・自習などの時間はすべて職員に決められ、24時間監視されている。私物も持てない。紙や道具を使うのにもいちいち許可が必要だという。児相側も厳しい管理はしたくてしているわけではない。理由があり、問題のある子どもを集団で預かる以上、何もさせない方がリスクマネジメントとして安全だという判断による。実際、過去に問題が発生したため、規律が強まったという経緯がある。
 
 だが、児相暮らしを数日体験し、経験者に取材した著者は「刑務所より自由がない」と評する。息が詰まりそうで子どもにとって大変な苦痛だという。当然だろう。著者は「一時保護部門に児相のエース人材を多めに配置する」「人権を含めた外部監査を行う」「一般家庭での一時預かりを拡充する」などの提言を行っている。実情を丁寧に伝えた上、きちんと解決案まで出す点に好感を持つ本だった。


 今月一番面白かったのは岩波新書の「文庫解説ワンダーランド」。小説は全く読まないけれど、「解説の解説」を読んで、不親切な解説が横行してるんだな……と思うとともに、作品自体を分かった気になるという、図々しい読後感を持てる。
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