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5月の新書オーバービュー

 「格差と序列の日本史 (新潮新書)」は古代~近世までの日本の官僚制の通史みたいな本。古代にできた官位官制が近世でも格付けのバロメーターであり続けたという。長く藩主を務めれば、通常の藩主の地位より一つの官位を狙えた。島津と伊達、会津松平と彦根井伊のように、同格とされた家でどちらが先に昇進できるか、泰平の世で競争心の源になったという。藤原道長って実は関白にならず、「内覧」という関白心得みたいなポジションのままだったという。関白だと天皇を助言・補佐するだけで政府の決定を覆すほどの力はなく、太政大臣という政府最高官位にいる方が国政の決定権があったからだという。


 世界的な好景気を反映して美術品がバンバン売れているという。「巨大アートビジネスの裏側 誰がムンクの「叫び」を96億円で落札したのか (文春新書)」で、その一端を感じることができる。サザビーズ日本の元社長にして石坂泰三の孫という著者が、オークション企業の運営を書いている。冒頭のムンク「叫び」落札シーンは、オークショニアとバイヤーとの緊迫したやりとりを臨場感たっぷりに書いている。天井が近くなると「さあ、もう一声」「本当にこれでいい?もうこれで最後だけど」……だが、競りは最後の最後の仕事で、真贋・質を査定し、カタログを作る。さらには、コレクターに「売りませんか」と声をかけ、良品を用意するのが本当の勝負所だという。

 近年、印象派に比べ、現代美術の市場は急騰している。著者が2011年に30万ドルで購入し、翌年50万ドルで売ったウォーホル作品は今、400万ドルするという。10年で10倍になったという。都現代美術館が20年前に6億円で購入した「ヘアリボンの少女」は高すぎると都議会で批判を浴びたが、今出品したら40億円は下らないという。その理由について、印象派は一級品の出物が少ないほかに、「現代の家にインテリアとして飾るなら、現代美術の方が部屋にしっくり来る」という。実用としての機能も求められているのか、と感心した。

 そして、米国における美術館のハイソサエティ度の高さは、日本では考えられない。貴族制度のない米国では大使と美術館理事がセレブの証とされていて、理事になるには100億円の寄付が必要だという。美術館長の報酬も1億円を超す代わりに、寄付を募っては名作を仕入れ、来場者を増やさなければならない。


 5月で一番面白かったのは、「「奇跡の自然」の守りかた: 三浦半島・小網代の谷から (ちくまプリマー新書)」か。本の面白さというより、環境保全活動自体の独創性によるところが大きいが。三浦・三崎港は何度も行ったことがあるけど、小網代は行ったことがないので、行ってみたくなる本だった。
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