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米軍基地がやってきたこと




第二次大戦後、世界に700以上建設された米軍基地の負の側面を逐一具体的に紹介しつつ、包括的にまとめている。環境汚染、性風俗の氾濫、建設による住民追放……もちろん、沖縄についても詳しく紹介しているが、沖縄の抱える「基地問題」が独、伊、グアム、中米、キューバ、インド洋など、世界中のホスト国で共有された悩みであることを実感する。

米軍基地のデメリットでまず挙げられるのが、性の問題だ。軍隊が暴力的組織である以上、「男らしく」ふるまうことを強く要求される。こうした組織風土では周辺に風俗店が増え、性犯罪が起きるのは避けがたい。「危険で不健全な生活だ」と著者は訴える。米軍内の女性兵士はもちろん、男性兵士ですら強姦やセクハラの被害に遭う比率が高いという。

著者は反対運動だけでなく、基地のインサイダーにもよく取材している。基地の中がどうなっていて、兵士たちが日々何をしているのかが伝わる。強い印象に残るのが、派兵された兵士が戦死した際に、基地内に住む配偶者に伝えるシーンだった。黒塗りのSUVが遺族となる家の前に着き、フル正装の告知班がドアをノックする……怖い。

米軍基地は戦後大量に作られたものの、米国にとっても維持費は高くつく。沖縄同様、基地反対運動への対応も苦労させられる。そのため近年、駐在国の基地にゲスト滞在しているように見せて、ほとんど自前の基地化する「リリーパッド」という名称で隠れ基地を増やしている。これなら、目立たないし反対の矢面にも立たなくて済む。ホンジュラスでは士官学校の敷地の大半が米軍基地と化しており、フィリピンとの提携強化でも、比国での外国軍の恒久駐在は禁止されているため、この手段が用いられると著者は見ている。

加えて、軍事予算はかなりめちゃくちゃである。近年ではインフラや居住空間の建設、維持はKBRなどの民間企業が請け負っている。アフガンとイラクでは13年間で1600億ドルが民間企業に流れた。随意契約が多く、費用がかかるほど手数料が上乗せされるため経費節減など考えようはずがない。在外基地ではXboxから安楽椅子まで、将官クラスだと自家用飛行機やコックまで与えられる。基地があればあるほどハリバートンやKBRに金が落ちていく仕組みだ。

著者は、ケビン・メアの国務省更迭に関係した人物で、沖縄基地問題に反対の立場でコミットしており、バイアスがあるのは確かだ。しかし、これだけ世界中の米軍基地を調べ歩いたのは、驚異的というほかない。そして、沖縄の持つような米軍基地反対論や、基地によるムダ金の発生も世界共通の問題であり、沖縄世論の反発というのもそれなりに理があることも実感する。米軍基地反対論を世界的な視野で再考する良書だと思う。本書自体は激烈な反対論だが、日本語版の本書では巻末に元陸自幹部である監訳者の冷静なコメントで幾分相対化しており、バランスの取れた翻訳書つくりに感じた。
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