うなんね新書レビュー ホーム » スポンサー広告 » 新書 » 2月の新書オーバービュー

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2月の新書オーバービュー

 2月の本は19冊読了。光文社新書「おどろきの心理学 人生を成功に導く「無意識を整える」技術 (光文社新書)」はいい本。実験心理学の最新のユニークな成果を紹介している。カミュ「異邦人」から、「人は太陽がまぶしいと攻撃的になるのか」という調査、「レッドブル塗装の車を運転すると攻めの運転になるのかという実験、「技能を習得すると脳は活性化しない」

 ほかにもしぶとく生き残る血液型別心理説のほか、ポジティブシンキング、スポーツにおける「流れ」などの俗流心理学を軽快な語りで片っ端から切っていくのは爽快だ。逆に、カリスマホストや水野敬也のナンパマニュアル本を「心理学の知識より実践のプロの話」「現場経験に基づくノウハウ」と評価するのも面白い。

 時に強引なプロレス喩えをする著者もたいがいなプヲタであるなあと思う。それも本書の味わいでもあるのだが。最後には「心理学=プロレス、脳科学=総合格闘技」論を展開する。心理学もプロレスも、新参者だが、ガチを強調する脳科学や総格に押され、「かっこよくない」と思われている、と。
 確かに、プロレスがガチのスポーツでないように、心理学も純粋には「科学」と言い切れない。それでも「方法論、論文記述、概念定義は緻密で、心理学は人間の行動を直接見る魅力のある分野だ」と著者は強調する。強引な名言流用でシメる所にプロレス愛&心理学愛を感じてしまう。「潰すぞ脳科学おらぁ、よく見とけよ」みたいな。どうでもいいけど、脳科学者の代表として本書が挙げるモギケン先生もプロレス愛好家なんだがなあ……

 近年、欧州に君臨するドイツを論じた本が多く出ているが、首相アンゲラ・メルケル自身について余り語られることはない。しかし、半生や人間性、政策を書いた「世界最強の女帝 メルケルの謎 (文春新書)」を読むと、今のドイツの政治的な台頭はメルケルの手腕に拠る面が少なくないと感じた。

 東独出身のメルケルはいわゆる「おやじキラー」で、時の権力者に愛されて東西合併から15年で首相にまでに上り詰めた。政治活動を始めたのはそもそもベルリンの壁崩壊後。新党を作って報道官になると、その新党が政権を取った東独政府の副報道官になり、合併後にはキリスト教民主党(CDU)から国会議員初当選、連邦首相コールに直訴していきなりドイツ史上最年少入閣し、コールが政治資金問題でつまずくと今度はコールを追い落とし、タッグを組んだショイブレが闇献金疑惑で党首を辞め……とわらしべ長者のような政治家人生。
 もちろん気に入られるだけの類まれな事務能力を持っていたからではあるが、「東独出身」「女性」との属性から、CDUで「東独を軽視していませんよ」というアファーマティブアクションの象徴として使われているはずだったのが、逆にCDUがメルケルの踏み台にされていたという皮肉な話である。


 今月は「これ」という本はなかった。「電通とFIFA サッカーに群がる男たち (光文社新書)」「日本海 その深層で起こっていること (ブルーバックス)」は新しい知見を示していて、関心のある人には薦めたい本だ。
スポンサーサイト
コメント
非公開コメント

トラックバック

http://unanne.blog41.fc2.com/tb.php/188-5bdcd46f

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。