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2015年の新書3冊

今年のレビュー本数は68冊。本の面白さをうまく表現できないため、レビューを書いてない。だがハマる本が何冊かあった。今年の新書、新聞にならって3冊挙げるなら……



古代メソポタミアからスカイツリーまで、一つの物語として「高層建築」としての歴史を提示する、稀有な視点の本。着眼点もびっくりだし、まとめた知識量、壮大な歴史をこれだけコンパクトにまとめ切る力、いずれも圧巻だった。




 著者・内田良氏は柔道など学校・教育事故の第一人者で、数年前から知られていたが、組体操問題で一気に「話題の人」になった印象がある。リターンのないリスクを児童・生徒がこれほど負っていたことを数字で見せ、「なぜその活動をしてはいけないか」と突き詰めて解いている。ジャーナリスティックではあるが、立論、論証は研究者らしい考え方だった。「かわいそう」だけではダメ、「なぜダメか、客観的に説明できないと」というスタンスに好感を持った。「「学力」の経済学」と並んで、情緒が先走りがちな日本人の教育論に、エビデンスが必要であることを強く認識させた本だろう。




 望まない妊娠の子を、出産当日に養親に渡す「特別養子縁組」制度の考案に携わった著者の半生記と制度紹介。ドラマ化希望のハッシュタグをつけたくなる本だった。日本の子供の虐待死の半分が生後1日に起きているという事実に驚いた。本やこの制度が全く話題になっていないのが残念。生みの母親も育てた両親も、子どもも幸せになるのはいい制度であるが、施設養護が優先されている日本ではなかなか進んでいないとのことだった。


 3冊には入れなかったものの、レーベル別では、今年も中公をぶっちぎりで読んでました。「物語イギリスの歴史(上) - 古代ブリテン島からエリザベス1世まで (中公新書)」や「朝鮮王公族―帝国日本の準皇族 (中公新書)」など、近現代史系は中身も見ないで即買いの本が多かった。

 ここ数年、左旋回が激しかった「気がする」上、ページの薄い上に大文字化で、中身の希薄化に拍車がかかっている「気がした」岩波だったが、今年はバイアスが入らず、しっかりした内容の本が多くて手に取った。売国奴、弱腰のレッテルを張られていた袁世凱の再評価を試みた「袁世凱――現代中国の出発 (岩波新書)」は読みごたえがあった。

 光文社新書は今年も、自分の知らない異界の魅力を感じさせる本が多かった。今年の3冊に挙げた2冊のほか、「人生に疲れたらスペイン巡礼 飲み、食べ、歩く800キロの旅 (光文社新書)」も旅に出たくなる。「ドイツリスク 「夢見る政治」が引き起こす混乱 (光文社新書)」もタイムリーでよかった。

 数年前は新潮同様、電車で読む娯楽本の印象が強かった文春だが、娯楽性は維持しつつ、時事のニュースをアカデミックに深掘りする本が増えた。話題の本では「「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書)」「イスラーム国の衝撃 (文春新書)」の2冊が圧倒的だろう。ほかにも政治評論家なのか、まだ学者の看板は下ろしてないのかしらないが、まだまだブレイクが続き、若手政治論壇のリーディングになるのかどうか個人的に注目している 三浦瑠麗氏の「日本に絶望している人のための政治入門 (文春新書)」など。

 平凡社新書も文化人類系の本で新しい知見をもたらす本が多かった。「イルカ漁は残酷か (平凡社新書)」はイルカ漁で日本の考え方がガラパゴス的なのではないかと、痛感させられた。本書にも出る倫理学者・シンガーの「動物の解放」は一度読んでみたい。Amazonで気の毒な暗い評価の低い「世界のしゃがみ方: 和式/洋式トイレの謎を探る (平凡社新書)」も「和式は日本固有の形態にあらず」という実地検分を交えたトイレ文化論の本だった。日本人の持つトイレ観というのも、世界的に共通なものではない、と。


 ほかにもあった気もするが、今年はこんなところでお開き。また来年。
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