うなんね新書レビュー ホーム » スポンサー広告 » 新書 » 3月の新書オーバービュー

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

3月の新書オーバービュー

 3月。震災から4年経ち、関連する新書もさすがに少なくなってきた。採算が取れないのもあるだろうが、「過去」化しつつあるのを感じる。岩波の意地がすごい。
 
 レビューを放流した「入門 犯罪心理学 (ちくま新書)」のほかに、「刑務所改革 社会的コストの視点から (集英社新書)」も、教育、再犯防止のための刑罰を論じている。名古屋刑務所の暴行事件をきっかけに生まれた刑事施設視察委員として、名古屋刑務所とかかわった著者が、刑務所の実態や、あり方を書いている。刑務官と受刑者を支配するスタイルは刑務所という性格上、止むを得ない。とはいえ、受刑者にも最低限の人権があり、第三者が客観的に見てブレーキをかけないと、暴行事件が再発してしまう。

 刑務所に注文をつけつつ、軍隊式更新や裸体検査などの非人間的な管理も100%間違いとは言い切れないとも著者は言う。糞を投げつけ暴れる受刑者を制するにはある程度の暴力も必要だし、そもそも刑務官は人が足りていない。定員オーバーで1人1畳の相部屋に詰め込まれる受刑者のストレスもたまる。ただ、著者は法学者の視点から「デュー・プロセスに基づいた懲罰や法執行が必要」だとする。

 諸外国のように、刑務官を第三者的に監視する機関にも責任を与えるべきだとし、米カリフォルニア州での矯正プログラムを紹介する。スリーストライク法のせいでカリフォルニア州は刑務所の談話室に二段ベッドを並べてまで犯罪者を入れ、それでも入りきらないため、軽犯罪者を釈放したり空きが出るまで自宅待機というわけのわからない状態になってしまった。「再犯者を外に出さないため、厳罰の方が社会的に低コスト」と見積もったが、矯正して更生させる方が再犯者が減り、安くつくことがわかった。

 
 「「昭和天皇実録」の謎を解く (文春新書)」は、欧州戦線の山場、マーケットガーデン作戦の最中に、昭和天皇が「ドイツ降伏時に和平を」と木戸幸一に話していたという。ドイツ軍の敗勢は濃厚だったとはいえ独本土に達しておらず、日本もフィリピンすら陥落していない状況で、「領土は如何でもよい」というのが印象的だった。

 また昭和15年に「支那の見通しを陸軍が誤り…」と評し、太平洋戦争直前に「士気高揚の御製を」という陸軍の依頼を拒否するなど、反戦的なイメージが強い。平和主義者の側面を出そうという書き手の意志を感じた。本書は、実録のハイライトを読めるという意味でいい本かもしれない。


 今月一番面白かったのは「アホウドリを追った日本人――一攫千金の夢と南洋進出 (岩波新書)」と「朝鮮王公族―帝国日本の準皇族 (中公新書)」。どちらも、近代日本の領土膨張を分析した本でありながら、「南方への融和的進出」「大陸への帝国主義」という従来のイメージを、それぞれ南方への帝国主義、大陸への融和的進出、とひっくり返した見方で展開していて、興味深い。
スポンサーサイト
コメント
非公開コメント

トラックバック

http://unanne.blog41.fc2.com/tb.php/169-bf812aee

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。