うなんね新書レビュー ホーム » スポンサー広告 » 新書 » 12月の新書オーバービュー

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

12月の新書オーバービュー

 11月読んだのは24冊。レビューした本のほかには、集英社新書の中国を論じた「騒乱、混乱、波乱! ありえない中国 (集英社新書)」のほか、「沈みゆく大国アメリカ (集英社新書)」がインパクトがある。あれだけ難産の末成立したオバマケアが到底皆保険といえないバッタモンだったことを明らかにしている。経済が好調なのに昨秋の中間選挙で民主党が大敗北したのは、オバマケアの大失敗が背景にあるのだろうと推測できた。アメリカの医療保険は、保険会社や契約ごとに使える病院・病気が違う。事実上、人によって内容が違う。
 また、50万円以上自己負担しないと保険金が始まらないという鬼契約がデフォルト。確かに骨折しただけで1万ドル飛んで行く医療費がおかしいといえばおかしいけれど。なおかつ、オバマケアは高額な上に全米の病院の7割近くが契約していない。バカ高い薬価は維持される。 
 本書の冒頭で、「妊婦健診・ドラッグ中毒治療のない保険は違法」として高額だが適法な契約を改めて結ぶように言われたおばあちゃんがあきれる。著者の堤未果氏の信者っぽい絶賛レビューがamazonにずらずら並んでて閉口したけど、オバマケアでアメリカの医療が何一つよくなっていないことはわかる好著だった。

 「ありえない中国」は、中国のニュース現場の舞台裏話。生々しいルポで中国政府の情報統制の厳しさを実感した。著者は中国駐在中、警察に21回拘束された。取材されたくない場所にいると、現場から引き離すために拘束するのだという。そのため携帯も使えるし、その日の内に解放された。外国記者への対応はソフトにしないと、国際社会から猛烈な批判を受けることを理解しているためだ。その一方で、許可証を持って合法な取材をしていた著者たちの拘束がばれ、世界中に報道されたため、「取材のせいで混乱を招いた」と自分たちの拘束を正当化する共産党の論理にはあきれる。
 ほかにも、重慶や四川地震被災地、ウカン村など、中国ではセンシティブなニュースの現場の取材話が続く。体張ってるなあと思うと同時に、取材先でつきまとう政府職員や警察のしつこさに驚いた。その反面、批判的な報道をする時、政府の報復を恐れながらも、インタビューに答えてくれる住民がいる。ローカルスタッフも仕事を成し遂げる。当局の理不尽さに多くの中国人も反感を持っていることがわかった。

 椎名誠の新書は初めて?わからないけど、不眠症を初告白したという「ぼくは眠れない (新潮新書)」は、同じ不眠症患者として同病相哀れむ感じで読んだ。アウトドア派で豪放磊落な印象があったので意外だった。「不眠が治らない」なんて話を読んでも面白くないからだろうか、と思っていたが、さすが椎名誠。眠れない辛さをエッセイで語る。
 私は入眠障害だが、椎名さんは夜中目覚めてしまうそうだ。夜中寝られないと怖い。で、「お守り」の睡眠薬を飲む。出先だと持ってるだけで安心する。また、私もそうだが、椎名さんも「旅に出ると眠れる」。そう、移動すると疲れるからベッドに倒れこんでしまうのだ。しかも時間がもったいないから早起きするし。椎名さんは登山や川下りだから、なおさらだろう。不眠関係の本はかなり読んだけど、「対策本」よりはるかに心にしみる本だった。

 「ニッポンの規制と雇用 働き方を選べない国 (光文社新書)」は、労働省OB・中野雅至の本。中野は多芸な論者で、経歴を活かした「お役所ネタ」「キャリアデザイン」の軟派な本が多いが、本書は規制の必要性を論じている。話があちこちへ飛んでいて論旨は取りづらいが、主張の骨格はユニークだった。「日本の役所は業界保護的な『経済的規制』を重視し、企業に甘い。労働など『社会的規制』の緩和には反対意見が少ない」というもの。
 「経済規制は、転職市場が小さい日本で競争力の弱い産業を保護するための必要悪だったし、団体が政治家に圧力をかけてきた。社会的規制の保護対象は労働者であり、強い政治圧力を持たず政治や役所への文句が出にくいため、緩和されやすかった」としている。

 パプアニューギニアを紹介する新書は本書が初めてか。「世界でいちばん石器時代に近い国パプアニューギニア (幻冬舎新書)」は、半世紀前まで文明社会との接触がなく、青銅器時代も中世もなく、いきなり携帯社会に突入した国の話。ジャレド・ダイアモンドの本ではたびたび出てくるが、一つ山を越えるごとに全く違う言語が話されている。全土で800あるとか。
 また、呪術や最近まで存在した首狩りなど石器時代ぶりを伝えるエピソードから、太平洋戦争で日本兵の9割が戦死した知られざる地獄・ニューギニア戦線の悲劇まで、主な話題をフォローしている。エネルギー資源も有望で、これからの観光地として伸びしろがあるとのことだ。

 幻冬舎新書でもう一冊「賛成・反対を言う前の集団的自衛権入門 (幻冬舎新書)」は、海自護衛艦隊司令OBで集団的自衛権の論客の本。安倍政権の集団的自衛権容認について、中国の海洋覇権に対する抑止力になると評価している。自身を含め現場の幹部自衛官は、集団的自衛権禁止の縛りで防衛協力が十分にできなかった。日米の防衛協力がスムーズかつ緊密になれば、尖閣から南シナ海まで、強い防衛力になると展望している。
 また、日本には領海警備についての法律がなく、尖閣諸島を警備している海保は海上警察に過ぎず、領海警備は本務ではない。中国公船への権限も一切ない。海保が無理をして頑張っているという。といって海自も領海警備は業務ではなく、「調査研究」名目で哨戒機を飛ばしているとのことだった。

 今月一番面白かったのは、「天皇陛下の本心: 25万字の「おことば」を読む (新潮新書)」か。憲法問題や政治の機微を考える上で、重要な示唆を読み取れる。
スポンサーサイト
コメント
非公開コメント

トラックバック

http://unanne.blog41.fc2.com/tb.php/161-2a605e24

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。