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絶対に解けない受験世界史


絶対に解けない受験世界史 (大学入試問題問題シリーズ)絶対に解けない受験世界史 (大学入試問題問題シリーズ)
(2014/10/04)
稲田義智

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 寝床で毎日10ページずつなめるように読み続け、3ヶ月かけてようやく読み終わった。この手の本は一気に数百ページ読むのは難しい。設問そのものも難しいのだが、難しい設問を基にした著者のインテンシヴなツッコミ解説を楽しめるのは10ページが限界。出題年・学校順に配列されているので、古代エジプトからイラク戦争まで、時空を飛びまくるのについていけないからだ。

 ブログでちょこちょこ読んでたけど、本になって読むと、毎年よくこれほどクソ問を量産するなと、改めて思うくらいにひどい。過去問題集を見ながら解くと、出版社・予備校の解説を読んで、ああそういうものかと納得してしまうが、実際には発行元で正答が分かれる事例もかなりある。著者のツッコミ解説を読んで初めて恐るべき鬼畜ぶりを理解できる。

 受験生時代はセンター世界史を完答し、自己採点が難しい論述は別として東大世界史は9割、早慶世界史も8割正解し、世界史にはかなり自信を持っていたが……全くわからない。史学を専攻した配偶者氏にも何問か見せたが「そもそも問題が理解できない」と言われてしまった。世界史はセンター試験だけで、2次や私大は日本史だったそうなので、畑違いといえば違うけど。「絶対に解けない」わけでもないが、ほとんど回答できない。出題側の空気を読まないとわからない問題が多い。

 赤壁の戦いを問う上智の問題(p100)で「三国」時代の戦いで「後漢」末期に「魏」の「曹操」をおそらく答えさせる問題があるのだが、横山光輝&コーエーレベルのファンなら即答できる。しかし、著者は「後漢末期なら三国時代じゃないし、魏だって赤壁以後の建国だし、出題者は間抜けか」と。たちの悪いことに「正解なし」の選択肢もあるのでたちが悪い。マニアなら「正解なし」と答えてしまいかねない。

 p305の上智、ナイル川に関する問題で、「正しいものをすべて選べ」という問題も、個人的には違和感がある。そもそも誤答してたのだが、正解とされたdの選択肢「ナイル川の源流探検は19世紀後半に盛んになり、英国人リヴィングストンやスタンリーが活躍した」は間違いじゃないかと思った。「アメリカの新聞記者として派遣され、コンゴ川水源地でリヴィングストンと対面を果たした」っていう話が有名だし、用語集にも「イギリス出身の米国人でコンゴ川を探検し…」とあるので、「スタンリーって米国人でコンゴ川を探検したんじゃないの?」と思ったら、英国から米国に18歳で移住し、晩年に一時期米国籍を取得しただけで、おおむね英国人だったとのこと。また、アフリカを横断してコンゴ川の水源調査をした際、ナイル上流の湖を訪れているので、ナイルを探検したと言えなくもない。何も知らないと答えられるけど、ちらっとスタンリーの知識があると悩ましいと思う、これは。

 著者が問題解決の方法を巻末で提案していた。いわゆる難関私大世界史のクイズ大会化は、各プレーヤーにとって都合がいいからそうなっている。ゲームのルールが変わらないなら、せめてルールの運用を改善すべきだろう。本書にも登場する桃木至朗氏がNHKで話していたように、「入試に出るから用語集に載る、用語集にあるから入試に出る」という悪循環で、難しくなる一方だ。用語集収録語句を減らすことが求められる。それには教科書が語句を減らさないといけない。

 東大・京大型の、淡々と記述させる方式がベストだと、私も思う。少なくとも、本書でもたびたび出てきた、早稲田や上智が好きな「あるだけ選べ」は絶滅すべきだ。どうしょうもないクソ問でも「1つ選べ」なら、エイヤで一番臭い選択肢を切れるが、どの選択肢も切るだけの確信がない中で、正解の数が定まっていないのは単なる嫌がらせでしかない。そして、出題ミスを毎年量産していて、それをネグるってあんた……大人社会って公正じゃないなって実感できる、いい機会なのかも知れないが。
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