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未承認国家と覇権なき世界



独立を宣言しているものの、独立元の国も、多くの国も認めないため、国際法的な地位と現状にねじれが生じている「未承認国家」について、学術的に考えた本。旧ソ連に点在するロシア衛星国のほか、台湾、コソボ、北キプロスが該当する。

未承認国家は旧ソ連領に多い。ソ連崩壊時、国際的に独立を許されたのはソ連直属の15共和国だけだった。ところが15共和国が独立したあと、グルジアやモルドヴァの国内にあった自治共和国との民族性にねじれが生じ、それをロシアが支援する形で自治共和国が「独立」してしまう。

本書の面白いのはコソボも「未承認国家」としている点だ。日本を始めとする欧米諸国が承認しているので全くの独立国家だと思っていたが、これはダブルスタンダードだと著者はいう。ソ連内の自治共和国と同じく、コソボはセルビア内の自治共和国にすぎなかった。ロシアが支援する未承認国家同様、本来認められないのに、セルビア悪玉論の風潮の中で認められてしまった。

未承認国家は国際社会の相互監視が行き届かないため、無法地帯化するのも問題だ。ロシアの衛星国ではロシアの基地が置かれているほか、武器の闇取引も行われている。「便利な無法地帯」と著者は言う。

こうしたグレーな未承認国家群を国際社会に復帰させるのは、親元国が承認するか親元国に戻るかしかない。しかし、それは極めて難しい。台湾や北キプロスは数十年も状況は変わらない。コソボでは、セルビアにEU加盟という餌をちらつかせ、コソボの主権容認へ進んでいる。しかし、「EUという巨大な餌あってのこと」と著者は悲観的だ。

選書なのでかなり難しいが、日本というあまりに国家の枠がはっきりした社会に住む我々には想像しがたいが、世界は独立国家だけで構成されているわけではなく、台湾のような白に近いグレーな未承認国家、南オセチアのような黒に近いグレーな未承認国家と、グラデーションをなしつつある。面白い本だった。
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