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ハウスワイフ2.0




アメリカの若い高学歴女性が近年、専業主婦に回帰しつつある。手作り主婦のブログも大人気だ。そして、都市から田舎へ。工業品からハンドメイドに。女性たちはなぜ「昔の女性」になろうとしているのか、著者はこれらの女性を「ハウスワイフ2.0」と名付け、その社会的な理由と、フェミニズムの背景から取材し紹介している。

有名大卒や修士持ちの女性が、仕事を離れる一番の理由はいい仕事がないことだ。リーマン・ショック後、大卒でもウェイトレスくらいしか見つからない。仕事が見つかっても、産休や育休は法的に保証されていない。投資銀行、記者など恵まれた職を捨てた女性もいる。「子育てを捨ててまで、会社に人生を捧げる意味はあるのか。自分と子どものために人生を使うべきだ」と本書に登場する女性の多くが訴える。

同時に手間暇かけた家事・子育てに生きがいを感じるようになった。地産地消、手作りの方が環境に優しく、安全だからだという。手作りマフィンや手編みのマフラーどころか、野菜栽培をする人、羊や鶏を飼う人、学校に行かせず家庭で子どもを教育する人もいるとか。もともとアメリカは開拓者の国で、DIY精神が根付いている。それでも、「工場で作られた食べ物は口にしたくない」から、一から作るのだという。ここまで来ると手作り信仰かもしれないが。

彼女たちはゴリゴリのフェミニストだ。だが、ベビーブーマー世代のフェミニズムとは違う。日本でもそうだが、オールドフェミニストは、家庭的なものを全否定したり、専業主婦の価値を低く見る。だが、社長も主婦も同等だ、と本書に登場する女性たちは考える。「女には男性的な生き方だけではなく、女性的な生き方を選択する権利もあるはずだ。女性的な生き方を否定するオールドフェミニストは誤っている」。さらに言えば、「女らしさを否定し、男のように生きることを推奨するのはフェミニストではない」と。著者は否定するが「女は子育て向き」と主張する、ラディカルなハウスワイフ2.0もいるという。

本書を読んで驚いたことが3つあった。1つ目は、女性の社会参加先進国と思っていた米国で、産休・育休が保障されていないこと。欧米で一括りにしていたが、ヨーロッパどころか日本からも遅れている。2つ目は、食の安全への関心が非常に高いこと。近所で作ったものでなければ食べたくないというのは、日本以上ではないかと思う。何より驚いたのは、キャリア志向ではないアメリカ人も多いんだなあということだった。いい大学を出た人は男女問わず、都会での成功を願っていると私は思っていた。

著者は、家庭回帰を全面的に支持しているわけではない。近年の家庭回帰を進めた大きなツールに、主婦のブログがある。ブログに登場する「完璧な主婦」像やネットを通じた商品販売に憧れた女性も多い。だが、完璧な主婦になるのは大変で、現実との落差で燃え尽きる主婦もいる。また、ネットで生計を立てるのは極めて難しいことを指摘する。

その上で、著者は「ハウスワイフ2.0」を選択しようとする女性に助言する。「ハウスワイフ2.0」は社会の一員であることを意識すべきだ。みんなが反近代志向で家庭に回帰したら、社会や会社で女性が減り、社会の中で発言もできず、女性にハンデのある状況は変わらない。そして、経済的な自立を考えなければならない。夫に金銭面で依存し、家庭作りに没頭するのは人生設計上、リスクが高い。子どもはいずれ一人立ちするし、離婚・死別の可能性も大いにあるからだ、と。

女性の社会進出が早かった米国を追いかけ、日本でも「働く主婦」が賞賛されている。だが、米国は日本より女性の労働環境が悪いし、男は家事に乗り気ではない。そして「もう限界」の声が上がっている。いくら言ってもガラスの天井は破れない。日本も限界に突き当たるのだろうか。待機児童問題はアメリカでもあるという。結婚して日が浅い人、小さい子を育てている人は、本書に出てくるたくさんのアメリカ女性の言葉に、共感できる点が多いのではないか。
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