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自滅する中国



「中国の急速な国力増大は、自国の繁栄に寄与しない」という立論。経済的、軍事的影響力を拡げるほど、周辺国との摩擦が大きくなる。国内での中国の影響力が増すのも嫌う。中国は他国の主権に手を突っ込みつつあるので、周辺国は従属するか抵抗するしかなくなる。韓国以外の周辺国は受け入れられないので抵抗する。解放軍や共産党による強硬論が国政の大勢を占めているため、脅迫的な主張が軟化する可能性は低い。軍事力を強化するほど、外交的な影響力は低下する。「中国の潜在的なターゲットである周辺国は敵対的になり、連携するだろう」と予測する。

ルトワックによれば、リーマン・ショック後、すぐ経済が回復した中国は09~10年にかけて主張が強硬になる。尖閣や南シナ海などで領土紛争を蒸し返し出した。この前後で各国は中国から急速に離反した。中国の脅迫的な主張を「戦略の失敗」と総括している。

総論の後、周辺各国の対中関係の悪化を国ごとに章立てて論証している。反米国家だったベトナム、フィリピンは、中国との海洋紛争を受け米艦隊の入港を認めた。ミャンマーは中国の影響力を排除するため民主化した。オーストラリアは、東南アジア諸国や西太平洋で集団安全保障の枠組みを作ろうとしている。また、震災後に即、ギラード首相が来日し、兵站・情報での相互援助を表明している。

日本政界は、震災まではアメリカから中国へとシフトしつつあった。外務省と防衛省は「中国は脅威である」という認識だったが、自民党も民主党も「アメリカの影響力は低下し、中国の国力が増している。中国とも『いい関係』でいることが必要」と判断した。小沢訪中団はその絶頂だった。これは二つの出来事で一気にアメリカへ傾いた。一つは10年の尖閣漁船衝突事件。もう一つは前述の震災。トモダチ作戦で自衛隊と米軍の威信は大いに高まった。米軍は必要以上の貢献をし、日米合同作戦で多くの被災者が救命された。

一斉に反中国へ傾く中、ますます中国への従属を深めている周辺国が一つある。韓国だ。歴史的に追従してきたこともあって、中国経済圏の傘下に入ろうとしている。米韓同盟で北朝鮮の軍事的リスクを米軍に丸投げしながら、米軍が真に対峙する中国には向き合おうとしない。その代わり、日本との諍いという現実逃避をしている、とルトワックは言う。北朝鮮が攻撃を仕掛けた時も、国会議員は竹島・対馬領有の宣伝をしていた。だが、日本を苛立たせたところで、韓国の脆弱性は変わらない。中国漁民に公務員を殺害されても韓国は、「いつものお気に入りで全く無害の標的」の日本に憤慨している。しかし、慰安婦像設置は「全く脅威をもたらさない国」を最も苛立たせる行為だったと、ルトワックは指摘している。


ここからは感想。ルトワックが言うような、印露まで加わった大同盟ができるかは疑問だ。しかし、周辺国を軒並み敵に回す、中国の高圧的な態度は明らかに戦略的失敗だった。また、ルトワックの筋書きが正しいなら、日本の集団的自衛権保持はアジアの国際政治の潮流に沿ったものといえる。オーストラリアは日本との集団安全保障を支持し、米国も集団的自衛権に賛同した。ベトナム・フィリピンが日本の海保巡視船の供与を受けたのもそうだろう。

韓国が日本の集団的自衛権も批判しているのも、ルトワックの韓国の章を読めば理解できる。メディアや国会議員は表向き「北朝鮮が暴発する」「侵略への反省がない」ことを理由に挙げている。「中国と争いたくない」という本音を挙げる議員もいるようだが。米韓同盟があり、戦時統制権延期で借りもあるので、韓国政府は米国の安保政策に公然と反対は唱えられない。とはいえ、心情的には中国に従属していて、韓国政府はちょっとでも事を構えたくない。「日本の歴史認識が不誠実なせいで、米国の極東安保体制には加われない」と言えば、米中両属の理由を取り繕える。アメリカが本当の理由がばれない限り。

アジア太平洋諸国が中国の膨張に警戒心を持ちながら接しているのに比べ、韓国は米中を含むアジア経済共同体で自らが中心になるという政治的プランを本気で描いているようだ。国際政治の潮流が見えていないのか、見たくないのか。大きな賭けに出ているように思う。加えて日本とは没交渉で、汚染水問題も集団的自衛権でも自国の主張をまくし立てるだけで、日本に全く影響力を行使できていない。以前はもう少し、うまく表裏両面の人脈を駆使してうまく泣き落としてた感があるが。隣国ながら心配ではある……
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1953年にスターリンが死んで1991年にソ連が解体、この間40年弱。1976年に毛沢東が死んだ2016年で死後40年、ソ連に倣えばそろそろ解体の時。2国とも「大男総身に智恵が回りかね」、図体デカクて、多民族で独裁でなければまとまりつかない国だが、社会システムが複雑化してまとめてゆくのはもう限界。習近平、鳩山みたいに視線が定まらず自信なさそうだし、彼の代でほぼ詰みでしょうね。

2013-10-17 13:24 │ from 平国党 運国斎URL Edit

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