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炭素文明論




元素の中で炭素だけが無限の組み合わせで化合物を作ることが可能だという。結合によって鉄より硬くなったり、甘くなったり、動力源になったりする。人類には欠かせない、というか、ヒトの85%は水と炭素化合物で出来ている。しかし、色々なものに変化するので、変わってくれなくてもいいのに余計な化合物、麻薬、ニコチン、エタノールも作り出し、虜にさせられてしまった人間も少なくない。人間はその本書は人類を変えた11の有機化合物の歴史。「文明論」というより、炭素の世界史という感じ。

一番衝撃だったのは、「人工甘味料は本当に0カロリー」ということ。バカかと言われそうだが、「砂糖みたいに甘いのにカロリーフリーなんて、そんな甘い話あるのか。何か代わりに悪いことがあるんじゃないか」と思っていた。人工甘味料は砂糖と組成が違うのに、舌の甘味受容体をだまくらかして甘味を感知させる。でも、腸は別物と認識して、一切吸収しないらしい。腸賢い。なんでも漠然と怖がらないで理屈で理解しないと怖いなあと感じた。人工甘味料の多くは実験中に、合成した物質を舐めたら甘いことに気づいたという。なお、人工甘味料の化学構造式はどれもばらばらで、未だに化学的にどういう条件で甘味が生まれるのかよくわからない。

中世後期、戦争で大砲と銃が決定力を持つ兵器になった。爆薬は国家を支える必須軍需になる。火薬製造に必要な硝石は産出地が限られたが、人工的に作ることができた。土中細菌が糞尿に含まれるアンモニアを酸化させると硝石の原料に変わる。その原料を煮詰めると硝石に変化する。平たく言えば、ウンコまみれの土を煮詰める。気持ち悪い。トイレの下の土が一番いいので、イギリスでは専門の役人が、硝石が見つかり次第、地面を掘り返し、家の床を剥がし、家畜小屋を破壊して回収したという。文字通り、血眼で草の根かき分けてもうんこを探す。「うんこ出せ~」。いいねえスカトロ役人。

化学でハーバー・ボッシュ法により人類の可住人口は30億人以上増えた。近代化学史上における最も大きな成果だった。著者は次の化学の大目標は「人工光合成」だという。不要どころか有害な大気中の二酸化炭素を集めて吸収し、太陽光で人類に有益な炭素化合物に作り変える。本書でどれほど「夢のプロジェクト」であるかを知った。天文学、物理、生物……化学より人気のサイエンスは多いが、「日常生活に最も貢献しているサイエンスこそ化学!そして化学ほど面白いサイエンスはない」という著者の意気込みを感じる。そして歴史エピソードがどれも素晴らしく面白い。それと同時に、どうでもいいことで歴史は決まってしまうものだと改めて思う。アメリカ建国の地は積み荷のビールが切れたという理由で予定地より手前になったとか。私は高校で化学を取っていないので中学レベルの知識しかないが、化学の知識はそれほどいらない。とても楽しく読んだ。
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