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朽ちるインフラ



出版は2年前。震災直後だ。出版当時も衝撃的だったが、昨年末の小仏トンネル崩落事故で、改めて老朽化したインフラの更新が問題になっている。本書は、インフラ老朽化問題について、問題提起し、超長期的なインフラ更新政策を打ち出した最初の一般向けの本であり、体系的な本としても唯一に近い。メディアや識者がインフラ老朽化問題を論じる時は、ほとんど必ず本書をタネ本にして語っている。この問題は今後ますます問題になると思い、遅ればせながら読んでみた。

アメリカではニューディール期(1930~40)にインフラ設備が大量に建設された。建設から半世紀近くなった70年代後半から、老朽化が問題になり始めた。インフラ設備の多くは耐用年数が半世紀だ。日本も高度成長期(1960~70)に建設されたインフラ設備が、これから更新期を迎える。今のところたまたま落橋はないが、いつ発生してもおかしくないという。

著者試算によると、2060年までの公共インフラ更新にかかる費用は330兆円だという。9割以上が地方自治体の所有だという。だが、金がない。今のままインフラを新設し、古くなったものを更新することなどできるだろうか。インフラはそれぞれの担当課が更新をバラバラにやっているが、今までのインフラ投資を束にして見直さないと、過剰インフラが自治体財政の足を引っ張りかねない。著者は、自らが関わったインフラ投資計画の策定経験から、投資金額を縮減する8つのアイデアを提示している。

8つの施策の根幹にあるのは施設稼働率の向上だ。似たような施設は集約して、施設の稼働率を上げる。あるいは一つの地域にバラバラに公共施設を建てるのではなく、学校を含めた多目的施設を作る。稼働率の低い施設は統廃合し、跡地は売却する。無駄になったインフラは間引く。複数の自治体で公共施設を共有する。これは一部事務組合がよく知られているが、それ以外に広域連携という方式も最近よく利用されているとのことである。

著者は図書館、公民館の存在意義に非常に厳しい。住民の生命に重大な影響を与えない、病院や学校に比べれば著しく劣後する公共施設だとしている。まあ、確かに図書館や公民館がなくても生きてはいける。藤沢市では公民館の稼働率が5割前後であり、96%が税金で賄われ、7割以上が特定の人のサークル活動に利用されているという。固定している受益者のために億単位の税金が使われているのはムダと本書は言う。

著者は、住民に納税者意識がないことも批判している。全国平均で図書の貸出1回につき1000円の税金が使われているらしい。図書館は貸出だけが業務ではなく、閲覧だけする人も多いので一概にこの試算が正しいとも思えないが、ともかく、コストを下げる方法はありそうな気はする。公民館にしろ図書館にしろスポーツ施設にしろ、結局費用は全く恩恵を被らない納税者もほぼ平等に負担している。利用している人は税の重みを感じないが、著者は「じゃあいくらだったら利用しますか」と問いかけている。

本書を読んでいると、つくづく「只より高いものはない」と思う。道路公団が補修をサボってた小仏トンネルは論外だが、多くの公共施設は、無料であるがゆえに、更新する費用の捻出に頭を抱えている。著者の対策は筋が通っていて正しいと思う。しかし、インフラ老朽化問題が明るみに出て、著者が解を示しても、図書館公民館廃止というと、大反対が出るし、かといって予算もない。「じゃあできます」と行かない所が難しい。
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