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12月の新書オーバービュー

12月って去年じゃねえか。もうすぐ春ですねなんて時候の挨拶が飛び交ってる時期に、12月とは。しかし12月読んだ新書は33冊もあった。「年に1000000ページ読む」dankogaiと違うからねえ。とはいうものの、もう半月は早く書かないと、と反省。面白い本が多く、正月過ぎから読みだしたのに、今月17日読了とかなり時間を要してしまった。ブログも冷温停止状態。にもかかわらず尼レビューが少ない。いくつか心に残った本を順不同に振り返りたい。それなりに書けてる内容だったらamazonに転載するかも。

死別の悲しみに向き合う─グリーフケアとは何か (講談社現代新書)」は、たぶん身内を失ったばかりの人に大きな支えを与える本だろう。ほぼ誰もが経験することだが、確かにあまり注目されなかったライフイベントだ。散歩する、自分を責めない、楽しみを持つなど10を超える、悲しみを緩和する方法が書かれている。ただ、著者によるとこれらのことは「しなければ」という思いで始めるのではなく、「しようかな」と思える気持ちになってからすればよい。そして、「死別が悲しいは当然」無理に悲しみを乗り越えようとしないことが重要だと指摘している。仏壇を持つ人の7割が仏壇の故人に毎日話すという調査結果がある、というのが興味深い。「そばで自分を見ている」故人との絆を維持し、心の拠り所としているのではないか、という著者の仮説にうなずかされた。

むしろ暴落しそうな金融商品を買え! (幻冬舎新書)」は、長年投資理論で正しいとされてきた長期投資、分散投資がリーマン・ショックでダメになったことを挙げているが、外貨投資を危険だと指摘している部分で、長期の消費者物価ベースでドル円相場を見ると、一貫して円高になっている、実質実効円相場でみると高すぎることはないという。しかし、長期投資、分散投資がダメだったのに、ドル円だけ、円高ドル安で今後もずっと続いていくんだろうか。著者に限らず、未来永劫円高ドル安で相場が進むと見ている人は多い。しかし、これとて長期投資分散投資と同じで、どうしてそんなに円高トレンドが変わらない、そして「日本国債は鉄板」と著者が断言するのが不思議だ。私は、円ドルはならせば100円前後を行ったり来たりじゃないかなあなんて思っているのだが。「著者の筆が荒れてる」とamazonレビューにあったが、私もそんな気がする。

アメリカ型ポピュリズムの恐怖 「トヨタたたき」はなぜ起きたか (光文社新書)」は、アメリカで2009年に「電子制御の不具合で、意図しない急加速が起こる」として、問題になったトヨタリコールの分析。アメリカの政治、メディアがいかに事実に基づかない「トヨタたたき」を加熱させたかを検証する内容になっている。ほとんどの「欠陥」が後日の検証で存在せずドライバーの運転ミスだった。著者としては、アメリカの魔女狩りぶりを糾弾したかったのだろうが、私はむしろ、ボンボンの御曹司だと思っていた章男社長が持つ、経営者としての危機対応力に感心した。章男社長は日本にいて、米法人社長や本社副社長にリコール対応をさせていたが、危機は収拾せずとうとう米下院公聴会に呼び出される。トヨタは朝鮮戦争以後では、サブプライム危機後の販売不振と今回のリコール問題が最大の危機だろう。アメリカは訴訟社会だから、「自分にいかなる非もない」と主張すべきだが米議会で、反論して全面対決すれば、不具合をトップ以下全社で隠蔽したと受け取られる。また、報道で見る米国民の心象も悪くなる。過去、アウディもそうだったという。章男社長の謝罪と反省は、手ぐすね引いて待っていた議員やメディアの拳を空回りさせ、問題は沈静化した。

名銀行家列伝 - 日本経済を支えた〝公器〟の系譜 (中公新書ラクレ)」は、元バンカーの伝記作家だから書けた本という感じ。なぜみずほ銀のコードが0001か、日本のコール市場を創設した池田成彬、新日鉄の生みの親・中山素平など銀行業務に精通していないと見えてこないトップバンカーの「すごさ」を表現している。「都銀」黄金期を仕立てあげた松沢卓二という人物を知ったのが収穫。磯田一郎を「反面教師」として入れている。画商である磯田の娘が売ってる絵を磯田の元部下が社長をしているイトマンがドカドカ買ったことから始まったイトマン事件は傍から見る分には面白すぎる。「私心があってはいかん」という磯田の言葉は、見事なブーメランになって自分の脳天に刺さっている。積極性が仇になって、「向こう傷を恐れるな」という磯田のスローガンは、いつしか大けがを負っても痛みを感じなくなってしまった。慣れは恐い。

たくらむ技術 (新潮新書)」は、今キー局で一番乗りに乗ってるテレ朝を牽引する看板プロデューサーの仕事論。「ネットで新しい生き方がうんぬん……受け身だからダメ……コンテンツがダメ……下らないお笑いがダメ」とかいう佐々木俊尚やdankogaあたりに代表されるネット論壇に影響を受けた、というかそもそも親玉たちである彼らのテレビ批判も平凡ながら、それを真に受けた小学生の読書感想文なみの凡庸なテレビダメダメ論がネットでは埋め尽くされているわけだが、彼らの凡庸なメディア批判を読むより、本書を読んで、最近のテレビ屋さんが考え抜いていることは何かを知る方が有益だ。佐々木氏やdankogaiがぼやーんとアームチェアで考えたことより、著者・加地さんが昼も夜も考え、1番組あたり1200カット編集して、250枚のテロップを書いて作った番組の方がどう考えたって面白い。何年も面白がってもらえる番組作り、人の生死や病気はネタにしない、といった自分の矜持を持って仕事しているのも、骨の入った番組につながっているのではないか。また、出川哲郎への意外な高評価など。売れっ子Pから見た芸人群像という視点でも楽しめる。ネット論壇の人って結局アームチェアから見てるだけで、必死に今をもがいて生きてない。だから、私には今と必死に戦っている著者の論の方が、生き生きしていて読める。俺様が世間に物申してるってだけなんだよなあ。私はネットの空気に反して、あえて「いいテレビ番組はいい」と言ってやるぞ、と思ったが、よく考えてみれば閉ざされた「ソーシャルなんちゃら」の人たちが「遅れた」世間の人にテレビオワコン論をがなり立てているだけで、世間的にはテレビは終わってなくて、テレ朝なんかはむしろ「キタ━(゚∀゚)━!」ぐらいなもんかも知れない。

戦国坊主列伝 (幻冬舎新書)」は、日本史まとめ系新書を量産している著者の新著。知識階級としての僧侶の伝記。30人いるので、一人ひとりは短いっちゃ短くて物足りないが、「坊主」って、くくりをひねり出したアイデア勝ち。戦乱の世では「学識者」として重んじられた坊さんだけが、教養から実務まで、体系的に学んでいたので、家庭教師、政治アドバイザー、時には参謀役まで担っていた。

マンションは10年で買い替えなさい 人口減少時代の新・住宅すごろく (朝日新書)」は、マンション売買のコンサル会社社長の本。自宅マンションを投資商品と見立て、買い換えを繰り返すことで資産が増えるという話。著者の運営するサイトで首都圏の新築マンションの妥当な価格を公表していて、検討中のマンションと比較することができる、らしい。新築の方がコスパがいいこともありうるという指摘は面白かったし、郊外一戸建てなんて時代じゃない、タワーマンションの資産価値はあるというのも、逆だと思っていた自分の考えが「思い込みだったか」とも感じたが、結局不動産なんてババ抜きかも知れない。著者の算出価格が正しかったら、みんなその額で買うようになって、価格が収斂され、損得もしなくなるんじゃないかとも思う。著者の考えで得できるのもこの数年内かもしれない、というと煽ってるようにも見えるが。

公務員ってなんだ? ~最年少市長が見た地方行政の真実~ (ワニブックスPLUS新書)」はいかにも、千葉市長の実績アピールの臭いが漂う本でレビューは控えた。予想通り、著者は再選を目指して出馬したとのことだ。ただ、本の内容は全く妥当だ。橋下市長のような※プロレス政治でもなく、現状に引きずられてるだけの行政でもなく、市民自治のための行政、政治作りに共感を覚える。とにかく内容がまとも。右肩上がりの時代、千葉市はやたらと無料事業を増やしたが、高齢祝い金など費用対効果に乏しい事業が乱立してしまった。これを外部評価、いわゆる事業仕分けでばっさり切った。国と違うのは、著者が情報公開、説得に努めていることだ。著者はツイッターは対話集会で、市民に直接負担増をお願いしている。お願いというより、「今まで通りだと、これこれの市民負担です。市の提案する案だと、直接負担は増えますが、トータルで見ると安上がりです」という選択肢を提示した上での説得だ。お願いだと「やだ」とか「いい」と受け身になるが、選択肢として出されると自分で考えて意見をいわなければならない。自治意識を養うことになると著者はいう。人件費削減も無駄な仕事をなくすことから、残業代を減らすことで達成する。「新卒採用を控えるのは愚の骨頂」という。これも全く同感。
※プロレスが悪いというのではなく、パイプ椅子の場外乱闘や試合前に「ナニコラタココラ」をやって盛り上げてユーザーを取り込む、というか巻き込む政治的努力を橋下さんはしてるという意味合い。あしからず。

12月はいろいろ読み応えがあって楽しかったが、これという本はない。みんなそれなり。もう書いてるだけでぐったり。今月は異常に長尺、で校閲しきれなかった。かつ長大ワンパラ、一文も異常に長くて読みにくいのだが、乱文御免。
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